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メリークリスマス!物語シリーズのクリスマス二次SS投稿です! byつむぎ日向

メリークリスマス!!
けいおん!の映画を、クリスマス・イヴに見に行ってきた主宰、つむぎ日向です!

ということで、鬼物語まで読み、阿良々木君には、せめてクリスマスくらいは楽しく幸せになってほしいな~と思い、今回のSSを書きました!
でも、あれ?なぜかメタギャグな作品になってしまった気が……

恋物語をまだ読んでいないので、食い違いがあっても、ご容赦下さい。

それでは皆さん、この下から始まる作品を読んで、寂しいクリスマスに一笑いしていただければ嬉しいです!
コメントもお気軽にどうぞ!お待ちしていますよ!

本当は、もう何本かクリスマスSSを投稿したかったんですが、時間の関係上書けませんでした……orz
ネタは思いついていたんですが、これもまたご容赦下さい。

では皆さん、良いクリスマスを!ノシ

byこれから恋物語を読み始める、つむぎ日向





今日あの場所で。



 今日は12月24日――クリスマス・イヴ。
「なあ忍、クリスマスってかわいそうじゃないか?」
 僕は道を歩きながら自分の影に向かって話かける。
 今日は戦場ヶ原に突然呼び出され、住宅街を進んでいるところだ。いつもなら自転車に乗っているところだが、残念なことに今はない。本当に残念なことに。二台とも。
「なにを言っておる。クリスマスにかわいそうなのは、お前様みたいな男じゃろう」
「…………」
 うん。それを言われると言い返す言葉もないんだが……
「いやそうじゃなくてさ、イヴの方が盛り上がって、クリスマス当日の25日ってもう沈静化しつつないか?」
「確かにそうかもしれんが、そもそもお前様はクリスマス・イヴに盛り上がったことがあるのか?」
「失礼だぞ忍。これでも、僕は毎年妹たちのためにクリスマスパーティーを催しているんだ」
 しかもそれだけではなく、妹たちが寝静まった後に部屋に忍び込んで、同じベッドに入ってからプレゼントを置いてきているんだ。
「もう言葉もないの……」
「話は変わるが、なんだか最近僕を見る目が変態を見るそれになってないか?」
「それは儂だけではないがな」
「そんなことより、やっぱり僕の家でもクリスマスパーティーは24日の夜にやってしまうんだよ。25日にはもう、妹たちがプレゼントに喜ぶ顔を見る日になってしまっている」
「お前様的には、それで十分なんじゃないのか?」
「いや、きっと今年はどんなプレゼントをしても喜んでくれないしな」
 僕のその言葉に忍が首をかしげる。いや、影の中にいるのだから直接は見えていないが。
「ほう、なぜそう思うのじゃ?」
 あの二人なら、お前様からの贈り物は大抵喜ぶじゃろう、と忍。
「だって“偽”のアニメ化も決まって、あの二人それどころじゃない感じなんだよな~。家でもずっとそわそわしちゃっててさ。忍は知っているだろうけど、毎晩一緒に寝てあげないと眠れないくらいなんだから」
「影の中にいるのだから当然知っているが、それはアニメ化が取りやめになりそうな話じゃな」
「いいんじゃないか?どうせ二次創作なんだし」
 そんなことより、今日は本当に話が進まないな。
「だから結局何が言いたいのかって言うと、」
「もうイヴだけでいいんじゃないか、と?」
「ああ」
 忍に先を越されて言われてしまった。さすが一心同体だ。
 でも忍は、僕の意見を言い当てた割に、同意見というわけではないようだ。
「あのなぁお前様、クリスマスがそもそも何の日か知っておるのか?」
「うん?好きな人と楽しく過ごす日だろう」
 僕がそう言うと、忍は大きく溜息をついてから、今の学校ではそんなことも教えないのかと呟いた。
「あれ、違うのか?」
「次に出会った誰かにでも聞いてみい」
 それ以後忍は喋ってくれなくなった。僕に呆れたのか、どうやら影の中から出てきてくれる気はないらしい。まあ、昼間なのに起きているというだけで貴重なのだが。


 そして忍が僕を無視し始めてから少し歩いた時、
「!」
 僕は道を行くツインテールの少女を見かけた。もちろん吸血鬼もどきの視力なので、まだ距離はかなりあるが、この僕が彼女を見間違えるわけがない。見紛うわけがない。
 僕はすぅーっと息を吸ってから、
「はぁぁぁぁちぃぃぃぃぃくぅぅぅぅぅじぃぃぃぃぃ!!!!」
 と、叫びながら一気に距離を詰めて後ろから抱きついた。その際、両の手は当然胸を完全にホールドする。
「っ!」
 僕に愛のこもったハグをされた八九寺は、声もないまま驚いた拍子に跳ね上がった。そして彼女の頭頂部が僕の顎にヒットする。しっかりと脳が揺れたのが分かった。
「ぐっ……」
「なんだ、阿良々木さんでしたか」
 顎を押さえて悶絶する僕に対し、振り返った八九寺はあっけらかんとした感じで言った。こいつの頭は大丈夫なのだろうか。いや、怪我的な意味の方で。
「おい八九寺。これは僕が相手じゃなかったら、きっと気絶していたぞ」
「なら、痴漢に対しては正しい反撃ということですね」
「相手が痴漢ならそうだが、僕は痴漢じゃない」
「え?」
「え?」
 二人して顔を見合わせる。どうやら僕は八九寺にずっと痴漢だと思われていたらしい。だが不思議だ。まったく身に覚えがない。
「阿良々木さん、やった人はみんなそう言うんですよ」
「そうなのかもしれないが、僕は断じてやっていない!」
「私に後ろから抱きついて、胸、揉みましたよね?」
「確かに揉んだけど、それとこれとは関係ない話だろ!論点をすり替えるなよ!」
 言った瞬間八九寺は呆れかえった顔をした。
「なんだよ、なにが言いたいんだよ?」
「いえ、ただ、この人はもう手遅れだなと」
 どこでキャラを間違ったのかな~と八九寺が誰にともなく言う。
「誰の事を言っているのか分からないが、きっと一話の時点で間違っていたんじゃないか?」
「時系列的には“傷”の時点で、ですかね」
 そんなことより、そんなことよりもだ。
「八九寺お前、こんな所でウロチョロしていていいのか?本編であんなにも素敵なキスを残して消えていったっていうのに」
「割とあっさり言いますよね、阿良々木さん。というか、そもそも時系列ではこの話はいつの12月24日なんですかね?」
「う~ん、“囮”のすぐ後ってことでいいんじゃないかな?そもそも、この話を書いている時には、まだ“恋”が発売されていないからな」
「そうですか。なら、今日だけの限定復活ということで。クリスマスに起きた奇跡というやつですよ!……というか今回、メタな発言ばかりですけど、これでいいんですか?」
 うん。僕もそうは思ってた。
「じゃあ八九寺、話を本筋に戻すために一つ聞いてもいいか?」
「はい、どうぞ」
 そう言って僕を見上げながら、僕の次の言葉を黙って待つ八九寺。どうしても唇に目が行ってしまうのだが――
「阿良々木さん、なぜ無言のままに顔を近づけてくるんですか?」
「いや、つい……」
「そんな万引きした高校生みたいに言わないで下さい」
 だってさ……。いや、話をもとに戻さないと、今回はメタだけで終わってしまう。
「お前は、クリスマスって何の日か知ってるか?」
「当然です。クリスマスは好きな人と楽しく過ごす日ですよ」
 ほらみろ忍。
 なんとなく影の中でこけた忍が脳裏に浮かんだが、気にしない。僕は間違ってなかったのだ。
「だよな、ありがとう八九寺。それより、今日は限定復活してまで、奇跡を起こしてまで、どこに行くんだ?」
「え?……ああ、えっとそれは……」
 急に歯切れが悪くなる八九寺。なんだろう、いつもハキハキとしているのに珍しい。
「教えてくれよ、八九寺」
「それは、その……」
「なあ」
「…………」
「おいって」
「あ、阿良々木さんのことが嫌いです。話しかけないで下さい」
「…………」
 久しぶりに言われた。言われてしまった。
 もう僕は駄目かもしれない。
 いやきっと駄目だろう。
「…………」
「……あの、阿良々木さん?」
「………」
「なにか言って下さい、阿良々木さん!」
「……」
「すいませんでした!私が悪かったので、そんな泣きそうな顔で見つめないで下さい!」
 八九寺に体を揺さぶられてやっと脳が回り始めた。
「すまん、ちょっと気が飛んでた。それより、なんの話だっけ?」
「いえ、忘れてくれたならそれでいいです」
 そう言う八九寺は、そそくさとUターンした。
「それでは阿良々木さん、またお会いしましょう!」
「ちょっと待て、八九寺。まだいつものあれをやっていないぞ」
「あれというと?」
「噛みましたから始まる一連の流れだよ」
「ああ、あれですか」
 突然面倒くさそうな表情になる八九寺。
 あろうことか溜息までつき始めた。
「正直あれ大変なんですよね……毎回考えるの苦労するんですから」
「ホント今回はぶっちゃけ話多いな!」
 まだ序盤だというのに。
「そりゃそうですよ!本編ならまだしも、素人の二次創作でそれを求めるのは酷という物です」
 もうなんか別の人の感情っていうか、愚痴がこもってないだろうか。
 まあ、最後の最期が綺麗に終わっているわけだし、あれ以上は求められないだろうな。
「それでは改めて、またお会いしましょう、阿良々木さん」
「ああ……」
 また、と僕はそこまで言うことはできなかった。
 “また”。その機会があるのかな……今日だけの限定復活なのにさ。クリスマスの奇跡なのにさ。
 だが八九寺は、僕がそんなことを言う前に走り去ってしまった。そのおかげで、僕はそれを言わずにすんだのだが。
 そんな情けないこと、言うわけにはいかない。間違っても八九寺本人には。
「――お前様、次じゃ」
 八九寺が見えなくなってしまったころ。僕の視力でも見えなくなってしまったころ、影の中から忍がそう言った。
「なにが次なんだよ」
「クリスマスが何の日なのか聞く相手じゃ」
「なんだよ。僕が言ったので合ってたんだから、それでいいじゃんか」
「いいわけあるか!とにかく、次に出会った相手にも聞くのじゃ!いいな!」
「それはいいけどさ」
 そうそう誰かに会うなんてこと――


 あってしまった。
 あって、逢ってしまった。一番この時期に出逢ってはならない少女に。
「あれ?暦お兄ちゃん、こんな所でなにしてるの?」
 この呼び方でお察しだろうが、相手は千石撫子その子だ。
 なにしてるの?は、間違いなくこっちの台詞だ。
「あのさ、千石……」
「なに?」
「いや、さすがにお前が出て来ちゃ駄目だろ!」
 いくら“化”のメインヒロイン全員出す気だからってさ。
 さすがにこの時期に、こんなに簡単に道端でバッタリ出逢ってはマズイんじゃないだろうか?
「そもそも、お前こんな所で何してるんだよ?」
「えっと……それはね……暦お兄ちゃんには言ったら駄目って言われてるから」
「ん?」
 それは聞き捨てならないな。いったい誰からだ?
「それはその……」
「千石、教えてくれよ」
「でも……」
「頼むって」
「暦お兄ちゃんのことが嫌いです。話しかけないでね」
「……うん、なんかゴメン」
 キャラコメで聞いているとはいえ、胸が軋むな。
 何百回とキャラコメを聞いていてよかった。そうじゃなかったら、身が持たなかったかもしれない。
 というか、卒業を待たずに言葉で殺されるところだった。
 なんという恐ろしい武器を持っているのだろうか。
「そういえば、今日は髪が蛇じゃないんだな」
「うん。あれじゃ道を歩けないからね……前髪は切られたまんまだけど」
 ああそうか。なんか違和感あるなと思ったらそのせいか。いくらなんでも、一カ月ちょっとじゃ伸びないよな。
 いやまあ、きっと戻せるんだろうけど。
 髪くらいなら。神なんだから、それくらいは。
「それじゃあ暦お兄ちゃん、また会おうね」
「え?もう行っちゃうのか?まだ全然話してないぞ」
「うん、そうなんだけど」
 それでも、と千石は名残惜しそうに言う。
「どう頑張っても暗い感じになっちゃいそうだから、わたしは行くね」
「そっか……じゃあ、行っちゃう前に一つ聞いてもいいか?」
「なに?」
「クリスマスって何の日か知ってるか?」
「それは、好きな人と楽しく過ごす日でしょ。そんなの当たり前だよ」
「だよな!」
 ほら忍!なにか言ってみろよ!
「それじゃあ、またね」
「……ああ、また」
 その“また”が、出来れば卒業式の終わった後ではなくなってほしいと思うのは、あまりにも望みすぎているのだろうか。
 でも、神にでも望みたくなる。願いたくなる。
 どうにかなって欲しいと。
 “恋”ではどうにかなってるのかな。それなら、完全に彼女任せになりそうで申し訳ないんだけどさ。これは、僕のせいでもあるんだから。僕がもっと早く――
「お前様、シリアスに持っていこうと思っているところ悪いが、次じゃ次!次の女子(おなご)を見付けろ!」
 せっかく話が真面目に傾いたのに、なんとことを言いやがる。
「それじゃあまるで、僕が女ったらしみたいじゃないか」
「そうまでは言わんが、そもそも女子以外の友達がお前様にいるのか?」
「い、いるさ!」
 忍野とか!いや、あれは友達とかじゃないな。
 でもそうすると……扇ちゃんはどうだろう?あれ、そもそもあの子は女の子だったか?
「ほら出てこないじゃろう」
「ちょっと待て、忍……そうだ!エピソードがいた!」
「なんじゃ、あやつとそんな関係じゃったか?」
「いやほら、共に戦った仲みたいだしさ。戦友っていうのかな?」
「共に戦った“みたい”とは?歯切れが悪いのぉ」
「だってそこは一言あっただけだからさ」
 正直、どんな仕事で共闘したのかも分かっていないのだ。本当はでっち上げてでも分かっていないとおかしいのだが。
「まあよい。とにかく次の誰かを見付けよ!」
「だからそんなに都合よく……」


 見つけてしまった。またも都合よく。
 知り合いを。
 後輩を。
「おお!阿良々木先輩ではないか!」
 しかもあっちが先に。
 やはり彼女もみんなにはお馴染みだろうから紹介は省くが、つまり僕の後輩。神原駿河が、十字路の死角になっていた道から現れた。
「やあ、神原。クリスマスって何の日か知っているか?」
「ちょっと待とう阿良々木先輩!」
 僕の問いに対し、神原は両手を突き出してそう言った。
 あれ?僕、なにか変なこと言ったかな?
「内容ではなく、出会ってなんの脈略もなく質問するのが変だと思うのだが」
「うん、言われてみればその通りだな」
「そもそも、私も阿良々木先輩と楽しいメタなトークをしたいのだ!」
「それがもうメタだけどな!」
 なんで僕がメタなトークをしていたのを知っているんだよ、お前。
 ってか、なんだかこうやって神原と話すのも久々な気がするな。
「えっと、“花”はまだ未来の話になるから、セカンドシーズンで僕と絡むのって、そういえばないんだな」
「ああ、確かに。“花”ではまさかの再開を果たした私たちだけどな!」
「再開って言っても、たまに会ってたけどな」
 戦場ヶ原を交えた三人で会うこともあったし。いや、この先あるし。あってほしい。
「そういえば、先輩方が千石ちゃんに殺されてしまうと、あの未来はどうなるんだ?」
「そうだな……なかったことになるのかな」
「それでは、せっかく私がメインの話も……」
「なかったことになるな」
「…………」
 orz←こんな風に崩れ落ちる神原。
 ってか、そもそもなんで千石のこと知っているんだよ、お前。
「いや、パラレルワールドってこともあるから、一概には言えないだろうけど」
「そ、その通りだ!さすが阿良々木先輩!」
 僕が言うと、キラキラした目で飛びついてきた神原。気持ちは分からなくはないが、
「先のことなんて、今ここで話しても仕方ないだろう?」
「むしろこの場で先輩がそれを言うのか。散々私がいない所で、楽しそうなメタ話をしておいて!」
 なんだろう、そんなに参加したかったのかな?やけに根にもたれている気がするんだけど。
「それはもうしたいに決まってますとも!なんせ、阿良々木先輩と不二子ちゃんのことで話せるのはここだけというものなんですから!」
「いや、なんで不二子ちゃんの話が出てくるんだよ!」
 さすがにそれはメタすぎるだろ!
「そんなことより神原、最初の質問に答えてもらえないか?」
「うん?最初の質問というと、ルパン×次元か、次元×ルパンかという質問だったか?」
「そんな質問してねぇよ!」
 興味もねぇよ!
「じゃあ、もう一回聞くぞ。クリスマスって何の日か知ってるか?」
「そうれはもう当然、好きな人と楽しく過ごす日だろう」
「ほら」
 僕はそのまま影の中に話かけるが、反応がない。
「それがどうかしたのか、阿良々木先輩?」
「いや、どうかしたわけじゃないんだけどさ。それよりも、神原はこれからどこかに行くのか?」
「え?ええっと、それは……」
 あれ?こいつもこの質問で口が急に堅くなるのか。変な偶然もあるもんだ。
「神原~教えてくれよ~」
「あ、阿良々木先輩のことが嫌いだ!話しかけないでくれ!」
「…………」
 おっと、思いのほかダメージがあるぞ。
 神原になら言われても平気だと思っていたのに、ズキンとくるな。
「……阿良々木先輩、冗談だから泣かないでくれ」
「え?僕泣いてる?」
 頬に触れると、いつのまにか濡れていた。
 さすがの僕でも度重なるダメージに、心が持たなかったのかもしれない。
「その、阿良々木先輩大丈夫か?私はもう行かないといけないのだが……」
 しかも、あろうことか後輩に心配されてしまった。
「ああ、大丈夫じゃないが、急ぎなら行けよ。冗談ならそれでいいから」
 なんて神原に向かって言ってみるが、とてもじゃないが心のダメージはそんなに簡単には回復しない。そればっかりは、吸血鬼の治癒能力も無力だ。というか、専門外だ。
「そうか?阿良々木先輩がそう言うならば、これで失礼する!」
「ああ、またな」
 僕が片手を上げると、神原も片手を上げて返し、次の瞬間にはダッシュでその場から走り去った。いつもどおりだから、もう驚きもしないが。
「お前様の知人は、物を知らん奴ばかりじゃな!」
 神原が見えなくなったころ、影の中から忍がそう叫んだ。
「なんだよ、いいじゃないか。確かに、クリスマスには元々のちゃんとした意味合いがあるのかもしれないが、今現代において、それは意味がないってことだろ。だって、僕を含めた誰もがそう答えてるんだぜ」
「いや、さすがにお前様たちは極端すぎると思うのじゃが……」
 忍はまだ納得しないのか。でも、残すところ登場していないのは――
 なんだ、こういう時に一番相応しい登場人物とまだ会ってないじゃないか。
「次は期待しておるぞ。きっと、儂が知っていること以上のことを知っていることじゃろう!今までのも、そのための伏線だと思おう!」
 まあ、あいつに会えるかどうかは分からないけどさ。
 でもこの流れならきっと――


「あっ」
 ホントに出会えた。
 神原と別れて少し進んだところで、十字路でバッタリ。
 それが誰かは、まあ言うまでもないだろうが、羽川翼その人だ。
「よお、羽川!こんなとこ――」
 僕がそう片手を上げて羽川に声をかけると、
「私は阿良々木君のことが嫌いです。だから話しかけないで下さい」
 そう言われた。
 キッパリと言われた。
 羽川に。羽川翼その人に。
「…………」
「あの、阿良々木君?」
「……」
「ええっと……本当に喋らなくなるの?」
「」
「せめて三点リーダくらい使ってくれるかな?」



「モノローグも無言なの!?
 もう謝るから!
 阿良々木君ごめんなさい!流れ的に私もやった方がいいのかと思ってやっただけだから、本当に嫌いなわけないし、どんどん話しかけていいから!なんなら胸を揉んでもいいから!」
「――――(本当に?)」
「本当、本当!胸のこと以外は本当!だからそんな眼だけで訴えてこないで!見ていてかわいそうになってくるから!」
 どうやら本当に羽川の冗談だったようだ。
「まったくー!羽川はお茶目だなー!」
「うん……本当にごめんなさい」
 もう二度と軽はずみには言いません――と、羽川は深々と頭を下げた。
 これは後になって忍に聞いた話だけど、この時僕はリアルに死にかけていたらしいが、まったく忍も冗談が上手くなったものだ。僕がそれぐらいで死ぬわけがないのに。
「それで羽川、僕は何を言おうとしていたんだっけ?」
「ショックで記憶喪失になってる!?」
「大げさだなぁ羽川は。ただド忘れしただけだよ」
 ちなみに、ここはどこなんだろう?
「ええっと……阿良々木君は何をするために歩いてたの?」
「それはもちろん、戦場ヶ原に呼び出されたからだよ」
「それは覚えているんだ……」
 少し寂しそうに言う羽川。
 まあ、忘れたら本当に殺されそうだしな。
「でもそれなら話は簡単。行きましょう、戦場ヶ原さんとの待ち合わせ場所に」
 そう言って羽川は、一瞬ためらってから僕の手を引く。
「行きましょうって、羽川は、僕がどこで待ち合わせているのか知ってるのか?」
「ええ、もちろん。“あの場所”でしょ」
「ああ、たぶん“その場所”だ。でもさすが羽川、なんでも知ってるな」
「さっきショックを与えちゃったお詫びに言ってあげる。なんでもは知らないよ、知ってることだけ」
 そっか、とだけ僕は返し、羽川に手を引かれるまま歩いていく。さすがに現在地を忘れたというのは冗談だったが、しばらくこのままにしておこう。
「そうだ、思い出した!」
 もう“あの場所”も近くなってきたころ、羽川に聞かなくてはいけないことを思い出して僕は足を止めた。それにつられて羽川も足を止め、僕に振り返る。
 そう。さほど重要でもないことを、僕は羽川先生に聞かなければいけなかったのだ。
 重要性が低いから忘れていたが。
「なぁ羽川?」
「なに?」
 首をかしげた羽川に僕は聞く。今日何度とした質問を。
「クリスマスって何の日なのか知ってるか?」
「それは……」
 羽川は僕の言葉を受けて逡巡すると、チラッと僕の影を見てから僕の方をジッと見つめ、
「好きな人と楽しく過ごす日、じゃないかな」
「やっぱりそうだよな!」
 忍、羽川がこう言ってるんだぞ。なんでも知ってる羽川が。
「なんでもは知らないって。知ってることだけ」
「おっ。今日は何度も言ってくれるんだな」
「クリスマスだからね」
「クリスマスだからか」
 凄い日だな、クリスマス。正確にはクリスマス・イブだが。
「でも、今のは少し違うけど」
 と、羽川。
「それじゃあ阿良々木君。ここでちょっと待っていて」
「え?」
 ここって――
 戦場ヶ原との待ち合わせ場所の少し手前。“あの場所”まで、もう目と鼻の先というところだ。
「というか羽川、なんでお前が……」
「いいからいいから」
 そう言った羽川は、最後に少ししたら連絡するからと言って小走りに去って行った。
「なんなんだ?」
「ここまできて分からんのか、お前様」
「は?」
 分かるもなにも、ヒントもないのに、何を分かれっていうんだよ。
「ヒントどころか、答えが出ているじゃろう」
「ん?……でもまあそんな事よりも、クリスマスのことだけど……」
「…………」
 急に静かになる忍。もう呆れて言葉もないというように。
「結局、何の日なんだよ?」
「それは……」
 忍が口を開きかけた時、ポケットの中で携帯電話が着信を知らせた。どうやらメールが来たようだ。
 画面を見ると、相手は戦場ヶ原からのメールだった。
「来て良いわよ――か」
 忍との話が途中になってしまったが、さっそく向かうことにする。
 すぐ目の前にある、戦場ヶ原との待ち合わせ場所。
 僕らの中では、“あの場所”で通じる程度には良く使っていた場所。
 そう、今はもうない――学習塾の跡地に。


「遅かったはね、阿良々木君」
 更地になってしまった学習塾の跡地。僕がそこに行くと、すでに戦場ヶ原はそこにいた。そしてそれだけでなく、
「戦場ヶ原、これって……」
 僕が口を開くのと同時、
「阿良々木さん!」
「暦お兄ちゃん!」
「阿良々木先輩!」
「阿良々木君!」
「阿良々木君、」
 ――メリークリスマス!!
 という声と、クラッカーの鳴り響く音が辺りに響いた。
 そうこの場には、今日僕が出会った女の子たちが勢ぞろいしていた。どうやら、僕が彼女たちに会ったのは、偶然や奇跡ではなく、ある程度仕組まれていたことだったらしい。
「まさか、ここに来るまでに全員と出会ってくるとは、思いもしなかったけれどね」
「でも、戦場ヶ原には会わなかったな」
「当然よ。私は、昨日の朝からここにいたのだから」
「そんなに準備することがあったのか!?」
 周りを見回すと、更地になっている学習塾跡地に、どこから持ってきたのか机が並べられ、その上に料理やらケーキが乗っかっている。だが、丸一日以上も準備に使うほどではないと思うが……
「楽しみだったのよ」
「そ、そうですか」
 それでも限度があると思うが。
「それより、なんでこんなこと?」
「あら?嬉しくないのかしら?」
「いいや、嬉しいよ!」
 まさか、みんなとこうやってクリスマスパーティーを出来るなんて思っていなかったし。
「そう。なら良かった。私はただ、阿良々木君に楽しんでもらいたいと思っただけだから」
「そうか……」
「ええ。普段頑張っている阿良々木君への労いだとでも思って」
「ありがとう、戦場ヶ原。それにみんなも」
 本当にありがとう。
 思えば、妹と過ごす以外のクリスマスは、これが初めてかもしれない。
 僕の言葉を聞いて、みんな口々に別にいいというようなことを言っている。同時に喋るせいで、何を言っているのかまでは聞き取れないが。
「でも、戦場ヶ原。お前のことだからてっきり、クリスマスは僕と二人っきりで、とか言うと思ってたんだけど」
「あら?私はそんなにも束縛はしないわよ。それに今日はイヴだもの。二人っきりを楽しむのは、明日でもできるわ」
「ま、そうだな」
 ってことは、明日は戦場ヶ原と二人っきりでクリスマスを楽しめるのか。
 みんなでこうやってパーティーをできるのもいいけど、彼女と二人だけで過ごすクリスマスっていうのも、きっと楽しいだろうな。そう思うと、明日が楽しみだ。そして、その分今も楽しもう。
「そういえば戦場ヶ原、クリスマスってなんの日か知ってるか?」
「当然。クリスマスは、阿良々木君と楽しく過ごす日よ」
「……なんていうか、ありがとう」
 ほら忍、言い方は違うが、意味合いはきっと同じことを戦場ヶ原も言っているじゃないか。
「もう自棄食いじゃ!」
 戦場ヶ原の言葉を聞いた忍は影から飛び出すと、机に並べられた料理にがっつき始めた。まだ夕方なのに、珍しく元気な忍だった。
「そういえば阿良々木君、まだ言っていない事があったわね」
「え?」
 言ってないことっていうと、今日の流れ的に“あれ”かな?できれば冗談でも聞きたくないんだが……
「私、阿良々木君のことが好きです。もっと話しかけて下さい……あれ?」
「いや、あれ?じゃねえよ!」
 どうやったら、そんな真逆な台詞が出てくる!?
「噛んでしまったわ」
「悪いが、お前とはその流れやらないぞ」
「そう、残念」
 さして残念そうでもなく戦場ヶ原が笑顔で言う。僕を楽しませたいと言っていたが、自分も楽しそうで何よりだ。
 そういえば、戦場ヶ原はどうやってみんなを集めたのだろうか。特に消えちまった八九寺なんか。
「聖夜の奇跡よ」
「とんだ奇跡もあったもんだな」
 その後、僕たちは夜になるまでパーティーを楽しんだ。と言っても、いつもどおりグダグダ、わいわいと騒いでいただけのような気もするが、ただこうやって楽しい時間を過ごせるのも、本当に久しぶりな気がする。


 そして、楽しい時間はすぐに過ぎていき、
「そろそろお開きにしないといけないわね」
 と、戦場ヶ原が切り出した。
「それでは、最後に私たちの阿良々木君から一言お願い」
「私たちのっていうのが気になるし、一言なんてないけど、」
 でも、と僕は続ける。
「でも、本当にありがとう、戦場ヶ原。こんなに楽しいクリスマスパーティーは初めてだ」
「いいのよ。この分は、明日返してくれれば」
「そっか。そうだな」
「と言っても、私は今日なにもしていないわ。それこそ、ここにいるみんなを呼んだだけだもの」
「それでも、お前が考えて、呼んでくれなければ、こんなに楽しいクリスマス・イヴは過ごせなかったよ」
「それだけ言ってくれれば、企画したかいがあったわ」
 戦場ヶ原の笑顔を確認して、横の八九寺を見る。
「八九寺、お前もありがとな。わざわざ今日限定でまで、出てきてくれて」
「いえいえ、楽しかったですよ、阿良々木さん!」
 八九寺に笑顔で返し、次に千石を見る。
「千石も来てくれるとはな……その、まだいろいろ片付いてないが、とりあえずありがとう」
「ううん……撫子も楽しかったよ!ありがとう、暦お兄ちゃん」
 二人とも心から笑いあってから、神原に目線を映す。
「神原、今日はありがとな!楽しかったぜ!」
「私も楽しかったぞ、阿良々木先輩!……また何かで、こうやってできればいいな」
 そうだなと頷いて、最後に羽川を見る。
「羽川、きっと今日のことでいろいろ戦場ヶ原を手伝ってくれたんだよな。ありがとう」
「いえいえ。私も戦場ヶ原さんと一緒に準備するの楽しかったし、今日も楽しかったよ」
 羽川の笑顔を見て、もう一度全員の顔を見る。忍は、いつのまにかまた僕の影の中に入ってしまっているが。
 今までいろいろとあったし、これから大変なこともあるだろうけど、今日だけはみんな笑顔だ。
「みんなに、僕はいろんなものを貰っているのに、僕はなにもあげられないな」
「なにを言っているの。ちゃんと貰っているわ」
「え?」
 僕の疑問に、戦場ヶ原は淡々と答える。
「阿良々木君の優しさ。私たちはそれぞれ、それを貰っているわ。それに助けられた」
「なに言ってるんだよ。人は勝手に……」
「勝手に助かるだけかもしれない。でも、少なくても私は、阿良々木君がいたから先に進めたと、そう思っているわ」
「そうか……」
「ええ、だから今日はその感謝をしたかったの」
「今日なんども言っているけど、ありがとう戦場ヶ原。それにみんな」
「どういたしまして」
 戦場ヶ原の言葉にみんなが笑顔でそれに応える。
 ――みんな、ありがとう。
 僕は心の中で、もう一度そう言った。
「でも阿良々木君。クリスマスのプレゼントは、それとこれとは話が別だから、わかっているわよね」
「……はい」
 当然といえば当然だが、さすが抜かりがない戦場ヶ原さんだった。


 今回のオチ。というか、単なる忍との会話だ。
 その後、片付けをしてこの日は解散になった。
 明日は戦場ヶ原と一日過ごす約束をしっかりとしてきた。
 そしてその帰り道。戦場ヶ原を家まで送っての、家への帰り道。時間はもう夜になっている。
「楽しそうじゃの、お前様」
「ああ、楽しかったよ」
 久しぶりに楽しかった。こんなに騒いだのは久しぶりだ。
「ずっといろいろあったからな。一時は楽しくても、ずっと楽しいっていうのはなかったから」
 だから今日は楽しかった。
「それはよかったのう」
「そういや忍」
 僕は思い出したように、いつのまにか僕の横を歩いていた忍に聞く。
「結局、お前が言いたかったのってなんだったんだ?」
「ん?何の話だ?」
「だから、クリスマスが何の日かって……」
「ああ」
 そのことか、と忍が小さく言うと、僕を見上げる。
「ん?」
「いや。……クリスマスはの、好きな奴と楽しく過ごす。そんな日じゃよ。それでよい」
「なんだよ?みんなが言わないからって、いじけるなって」
「そうじゃないわ。今日、あ奴らを見ていて、そして、お前様を見ていて思ったのじゃ。本来の意味や定義など意味はない。ただ、イベントを楽しく過ごせればそれでいい」
 それが一番じゃ――と、忍は笑って言った。
 きっと、心からそう思っての言葉なのだろう。
「ほら!じゃからさっさと帰って、ミスドパーティーをするぞ!」
「って、おい!まだ食べるのか!?というか、だからの意味がわからないぞ!?」
 それから僕らは、家に帰って落ち着きのない妹たちとクリスマスを祝い、夜中には忍と二人でミスドパーティーをしたのだった。
 まったく。楽しかったけど、大変なクリスマス・イヴだった。
 でも、明日はまた戦場ヶ原と二人っきりでのクリスマスだ。
 これなら、クリスマスを二日祝えるのはありがたい。だって、そのおかげで、みんなとのパーティーも、戦場ヶ原と二人でも祝えるんだから。

 ――ありがとう。

 誰にともなく僕はそう言う。
 これから先、もうこんな機会はないのかもしれないけど、それでも今日は楽しい日だった。心からそう思う。
 次に何が待っているのかは分からないけれど、僕に出来る限りで頑張ろう。そう思うのには十分な、気合い注入イベントだった。


 ――fin.
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