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胸に抱くは理想の世界【俺妹二次】 byつむぎ日向

黒猫が好きすぎて、京介にも譲る気がない主宰のつむぎ日向です!

今回も、俺妹8巻からネタバレ有の補完的二次小説になります!
黒猫と京介をイチャつかせようと思ったのですが……結果、いつもと同じような感じになってしまいましたw

ですが、一回でも読んで下さった方をニヤつかせたら勝ちだと思っています!
そこで、この作品を読んで3回以上ニヤけた人は、正直に拍手していってください!←
あるいはコメントでもおkです!

それでは、下の「続きを読む」から、思う存分黒猫充してくれると幸いです。
どうぞよしなに。

byつむぎ日向


胸に抱くは理想の世界

1

「おまえ!それは俺の魚だ!」
「えぇ~良いじゃん別に」
「良くねえ!それは唯一の草以外なんだよ!」
 夏休みも終わってしばらく経った、私の家族の新居。
 そこで昨晩泊まっていった“仲の悪い”兄妹は、テーブルを挟んで朝食を取り合っている。
 まったく、朝から騒々しいこと。でも、それに嫌な思いなどない。私は、この騒々しさを楽しいと感じている。
「黙って食べなさい。妹たちが起きてしまうでしょ」
「じゃあ、あんたのも貰い!」
「なっ……!」
 仲の悪い兄妹、妹の方。高坂桐乃は私の魚にまで箸をのばし、ヒョイッと持って行った。
「何をするの!」
「あっ、やっぱ猫だから魚好きだった~?」
「そういうわけではないわ。そもそも、そんなに食べていたら太るわよ」
「大丈夫、問題ないから。だって、あんたの料理すっごいヘルシーだし、毎日作って欲しいくらい!」
「フ……フン。私がそんなことするとでも思って?」
 目線を桐乃から外し、できるだけいつものように言う私。
 この娘。アメリカから帰ってから、こういうことを普通に言うようになった。ただ、こっちとしては、その……悪い気はしないわね。
「俺は、夏休みの最後の方はいつも黒猫の作った弁当だったぜ」
 と、仲の悪い兄妹、兄の方。高坂京介は、実の妹に自慢するようにそんなことを言いだした。
「あ、あなたね!なぜ今そんなことを言うの!?」
「だってほら、嬉しかったし」
「……そう」
 この兄は、こういうことを正直に言ってくる。出会ったころは、それが少し苦手だった。でも今は、そんなところが……いえ、なんでもないわ。
「なんであんただけ!ズルくない?」
「はぁ~……わかったわ。今度なにかある時は、みんなの分を作ってきてあげる」
「マジで!?ヤッター!」
「そんなに喜ばないで頂戴。ただ、私も料理は好きな方だから、気が向いたら作ると言っただけよ」
「ありがとな、黒猫」
「……別にかまわないわ。これくらい」
 視線をテーブルの上にある朝食に落とし、私は黙って朝食を食べた。自分でも、顔が熱くなっているのがわかったから。
 それからしばらく、騒がしく朝食を三人で食べた。
 私の理想とはまだ遠く離れているけど、これも悪くない。今だけは、もう少しこの幸せな空間に身を置いても文句は言われないでしょう。そう、あの時のように。
 ご飯をかき込む京介の横顔を見る。その美味しそうに食べる顔を見ると、どうしても夏休みのことを思い出してしまう。
 ほんの短い間の交際関係。たった数回のデート。その全てが私の中で最高の思い出で、彼にとってもそうだと信じたい。
 あの日々が、無駄ではなかったと信じたい――


2

 思い出すのは、最初のデートをすることになった前日の夜。
 私は自分の部屋で衣装作りに励んでいた。
 少し前から制作にとりかかったこの衣装は、私が初めて白い布を大量購入したところから始まった。
 別に、彼に白が似合うと褒められたからというだけではないのよ。ただ、現役読者モデルの言うことも、たまには聞いてみようかと思っただけ。
「……“彼”ですって」
 心の中で思った言葉を、もう一度口に出して手が止まってしまった。別に変な意味で言ったわけではないのに、その言葉を考えてしまうと、どうしても頬が上がってしまう。
「は、早く作らないと」
 あの人のことや明日のことを考えていると、衣装がいつまでたっても完成しなくなってしまう。
 私は無心で手を動かし続けた……などとできるはずもなく、時々手を止めては、口元に笑みが浮かんでいた。
「ルリ姉……気持ち悪いよ……」
「は、早く寝なさい!」
 いつから見ていたのか、本気で引いている日向を追い出し、私はまた中断混じりの衣装作りを再開した。


「フッフッフ……ついに完成よ」
 日付が変わった頃、ようやく聖天使の衣は完成した。
 それを着て、姿見の前でポーズをとる。先輩がこの私を、『荒ぶる堕天聖のポーズ』などと言い出すのは、これから半日も経たない頃。
「…………」
 ただ、せっかく完成した衣装を着ても、どうしても納得できないところがあった。
「……やっぱり、先輩は大きい方がいいのかしら?」
 自らの胸を見ながらそう呟いて、悲しくなる。
 今まで以上に体のラインが出る格好のせいで、先輩に残念だと思われないだろうか。それだけが心配だった。
 当然、衣装自体には自信がある。この私が作ったのだから、完璧でないわけがない。でも、自分の身体ばかりはどうしようもない。
「フッ……先輩はそんなに心の小さい人ではないわ……」
 そう言い聞かせて、私は念のため買っておいたパッドの袋を開けた。
 先輩のことを信用しきれなかったわけではないのよ。ただ……そう!入れた方が見栄えがいいと思っただけよ。
 そんな言い訳でまた悲しくなりつつ、私は作業を終えるといつものジャージに着替えた。そして、
「先輩は……この方がいいのかしら……」
 これも買っておいた伊達眼鏡をかけてみた。
「…………」
 しばらく眼鏡をかけた自分の姿を鏡で眺めてから、
「フッ……ありえないわね……」
 と、苦笑交じりに呟いて、眼鏡を机の中にしまい布団に入った。
 これをかけて行ったら負けた気がするもの。だから、絶対に最後までこれは出さないわ。
 そう固く誓って。


 それから結局眠ることはできずに、朝まで“運命の記述(デスティニー・レコード)”の最後のページを眺めていた。そこに思いをはせながら。そして自らの決心が揺るがないように。
 朝になると、私は予定の三時間前に家を出たのだった。


 それから私たちは、毎日会い、どこかに遊びに行った。
 そして今日も、マスケラの同人・コスプレイベントに参加するため、都内までやってきていた。
「おまえ、ホント好きだよなー」
 開場までの時間。列に並んでいる時に、先輩はそんなことを言いだした。
「好きなどと陳腐な言葉で言わないで頂戴。私の思いはもっと深いものよ」
 てっきりマスケラのことを言われたのだと思ってそう返したのだけど、
「そんなに気に入ってるのか。その服」
 などと先輩は嬉しそうに言った。
「え?」
「いや、よく着てるからさ。選らんだアイツも本望だろうな」
 どうやら、先輩は今私が着ている服について言ったらしい。そう、桐乃に選んでもらった、白のワンピースについて。
「こ、これはその……好きだとか気に入っているということではないのよ!だからその、「妹に言ったら喜ぶだろうな」という顔を止しなさい!」
「じゃあ、なんでそんなによく着てるんだ?」
「それは、その……」
 白状すると、確かに褒められたこの服は気に入っている。でも、それと同時に、他に何を着れば喜んでもらえるかなんてわからないのよ。
 今までは、自分が好きなものを好きなように着ていたけれど、今はやっぱり先輩に喜んで欲しいと思うもの。
 まさか部屋着のジャージで会うなど、考えることも悍ましい。
「……特に理由なんてないわよ」
 そんな風に言って、麦わら帽子を深くかぶった。
「そっか……そういや、おまえは今日コスプレしないのか?」
「そのつもりはないけれど」
「そうか。そりゃ残念だ」
「なにが残念なのかしら?」
「だって、今日はコスプレコンテストもあるんだろ?」
「ええ、そうだけど」
「だったら、おまえが出れば間違いなく優勝するのになって思って」
 自信満々にそう言う先輩。その顔には、嘘や気をつかって言っているようすはなかった。そもそも、先輩がそういうことを言わない人なのはよく知っている。不味いものを不味いとハッキリ言うような人なのだから。(幸い、私はまだお弁当にそう言われたことはないけれど。)
「なぜそんなことを思うの?」
 そんな人なのは知っているけれど、どうせ根拠なんてないと思って聞いてみる。でも先輩は、
「だってよ、おまえ以上にコスプレ似合ってて、それに……おまえ以上に、可愛い奴もいないだろ」
 と、目を合わせないで言うのだった。
「あなたはこんなところで何を言っているの!?地獄に堕ちなさい!」
 私も目を合わせられずにそう言う。
 でも、そう言ってもらえるのは素直に嬉しい。どうしていいかわからなくなってしまうけれど、それでも、確かに自信が出る。
「……今度機会があったら、出てみてもいいわ……」
「おう、頑張れよ!その時は応援するぜ!」
「何を言っているの?あなたも一緒に出るのよ」
「へ?俺も?」
「そうよ。あなただって、コスプレするの好きじゃない」
「いや俺は……」
 まだ夏コミの時の傷を気にしている先輩を苛めていると、時間になりイベントが始まった。そこからはいつもどおり楽しくイベントを終え、その日の二人の時間も終わった。
 ――そして、“運命の記述”も順調に1ページ進むのだった。
 それを悲しいなどと、寂しいなどと思ってはいけないのに……


 それからこんなこともあった。
 それは先輩の家に、彼女として何度目かの訪問をした時だった。
「今日もあなたの妹はいないの?」
「ああ。あやせたちと遊びに行ったみたいだ」
「……そう」
 あの女、私が家に来るとわかると、必ずどこかに出かけてしまう。ここ数日この家で会ったのは、最初に来た時だけ。
 沙織を交えれば来てくれるのだろうけれど、それでは意味はないのよ……。
「……そういえば、ご両親は?」
 自分の思考を切り替えようと、私はそんなことを先輩に聞いた。でも、それは失敗だった。
「ん?親父は仕事だ。お袋もどっか行って、夕方まで帰らないって」
「そ、そう……」
 それはつまり……この家には、今二人きりということよね。
 思い返せば、この家にくる時は、最近ずっとそうだった気もする。でも、それを初めてまともに意識してしまった。
 その瞬間から、耳が熱い。
 そういえば、ずっと先輩が気まずそうにしているのは、そのせいなのかもしれない。今さらそれに気がついた。
「ねえ、先輩……今日はなにをするんだったかしら?」
「なんだ、なにかプランがあるわけじゃないのか?」
「え?ああ、そうだったわね……えっと……」
 黒いノート“運命の記述”を取り出して、今日しようと思っていたところのページを開く。
 別に動揺しているわけではないのよ。つい何をしようと思っていたのか忘れてしまっただけ。
「……えっと、今日は……」
 いつもみたいにそこに書かれたものを指差そうとして、ページの隅に目が行ってしまった。
 そこにはなにもなく、一回書いたものを何度も黒く塗りつぶしてある。それでも、自分で書いたものだ。ある程度そこに何を書いたのかは覚えている。
 そしてそこには、――先輩と、キ――
「おい、黒猫?大丈夫か?」
「スッ!」
 急に声をかけられてビクッと飛び上がってしまった。
「だ、大丈夫よ……」
「そうか。で、スってなんだ?」
「それは、ス……好きなゲームをするわよ!」
「?……おう、いいけど」
 不思議そうな顔をする先輩を無視して、いつものようにPCでゲームを始める。
 そしてしばらくゲームで遊んだあと、
「そうだ!忘れてた……」
 と、先輩が急に声を上げた。
「なにかしら?妹にアニメの録画でもお願いされていたの?」
「ちげーよ!なんでそうなる。まあ、おまえはちょっと目をつむってろ」
「なぜ?」
「いいから」
 渋々、私はベッドの上に座ったまま目をつむった。
 先輩が何をしているのかわからない中、どうしてもさっきの自らが消したあの言葉が頭の中で反復する。
 この状況なら、先輩がそういうことをして来てもおかしくない。
 でも、あの女から借りた本には、いったいなんと書いてあっただろうか?いつからそういうことをしてもいいと書いてあっただろうか?
 最初は手を繋ぐまで。じゃあ、その次は――
 いや。そもそも、今この家には二人きりなわけで、私はベッドの上で目をつむっている。これはもう、私が思っている以上のことをされても文句は言えないのかもしれない。
 先輩だって、最初胸を触りたいと言っていたし、恋人関係である以上そういうことも普通だとは思うのだけれど。
 でもやっぱり、そういうことはまだ――
「もういいぞ……って、なんでそんなガチガチなんだよ」
 苦笑交じりの先輩の声が聞こえて、私は目を開けた。するとそこには、
「……ヨドバシの袋?」
 先輩がヨドバシカメラの紙袋を私に突き出していた。
「ああ、これおまえにと思って」
 私はそれを黙って受け取り、中身を確認する。
「これ……この間のペンタブ」
 それは初めてのデートの時に私が見ていたペンタブだった。でも、なんでこれを先輩が?あの時はしっかりと断ったのに。
「やっぱりおまえ欲しそうだったし、あの後すぐ行って買ってきたんだよ。わたすのすっかり忘れてて今になっちまったけど、まさかもう買っちまってたか?それなら沙織にでも……」
「まだ買ってないわ……」
 先輩の言葉を切ってそう言う。
「買ってないけれど、やっぱりこれは貰えない」
「なんでだよ?そんなに俺からプレゼントされるのが嫌か?」
「そういうことではないのよ」
 ただ、こんなことされたら嬉し過ぎて、どうしていいかわからなくなってしまうから。だから……
「半分は私が出すわ」
「え?」
「代金の半分は私が出すと言ったの」
「別に金のことなら……」
「あなたの財布を心配したわけではないわ」
「あっそう……」
「ただ、私と先輩……二人で一緒に買った記念の物にしたいの……駄目かしら?」
 貰ったばかりの紙袋を抱きしめて先輩にそう言う。
「そういうことなら……わかった。ありがたく半分もらっておくよ」
「ありがとう、先輩」
 二人でお金を出し合って買ったペンタブ。絶対に大事にするわ。
「きっと、壊れても捨てなることはないと思うわ」
「そん時は、新しいの一緒に買おうぜ」
「……ええ」
 その時、私たちは恋人でいられるのだろうか。
 いや、今そんなことを気にしても仕方ないわね。私は“今”、高坂京介と恋人同士なのだから。
「それより、さっきはどうしたんだ?ガッチガチに固まって、真っ赤になってたけど……もしかして、風邪でも引いたんじゃないか?」
「そ、それは……なんでもないわ!私は至って正常よ。そもそも、この私が体調を崩すわけがないじゃない」
「そっか?ならいいんだけどよ」
 まさか、あんなことを考えていたなんて言えるわけないじゃない。
 それに、見当違いで結果的に残念に思っただなんて……
「――っ……残念になんて思っていないわよ!」
「な、なにがだよ……?」
「……なんでもないわ」
 今日の私はどこかおかしいわね。


 そしてその日の二人の時間も終わり、先輩は既に日課のように私を家まで送ってくれた。
 家に戻った私は、少しずつ荷造りを始めた中のダンボールを開け、大切にペンタブをしまい、代わりに浴衣を違うダンボールから出した。
 明日、先輩にこの家に来てもらい、そこから花火を見に行く。そのための格好だ。
「明日で、終わってしまうのね……」
 “運命の記述”を開いて、明日先輩に付きつけるつもりの言葉を見る。
 それを見るだけで悲しくなるけれど、仕方ない。これは私が選んだことなのだから。
 だからせめて、明日だけは最後まで楽しみたい。
 最後まで先輩と、笑顔で一緒にいたい。
「私はこれだけ頑張ったわよ……あなたはどうするの?」
 机に置かれた写真と、あの女から借りた本を見てそう呟く。
 すべてはそのためにしたこと。
 でも、
「私だって、あなたに負ける気はないのよ」
 私だって、あなたと同じくらい……いいえ。あなた以上に先輩のことが……
「――京介のことが好きなのだから」
 そう言って借りている本を裏返した。
「熱いね~」
「ひ、日向!?」
 またいつぞやのように部屋の中に入ってきている日向。
「そういえば、高坂くんはルリ姉のこと名前で呼ばないよね?」
「それがどうしたの?」
「いや、恋人なら名前で呼ぶもんでしょ?今のルリ姉みたいにさ」
「別にどうだっていいでしょう!?ほら、さっさと寝なさい!」
「は~い……高坂くんに明日聞こうっと」
 テッテと走って行く日向。
 あの子の言うことも分かる。恋人なら名前で呼び合ってもおかしくない。それに、私だって名前で呼ばれたい……
「――別に呼ばれたいわけではないわ!」
 誰に対しての言い訳なのかわからないことを言って、私は浴衣を抱きしめた。
 ――明日で終わりを自分から告げないといけないのに、私はどんどん彼を好きになっている。
 ――でも、彼はどうなのだろうか……?
 ――私のことを、どう思ってくれているのだろうか?
 ――それを、確かめることができるのだろうか?
 ――彼が私を本当に好いてくれているのなら、このままでもいいのではないか?
 ――あの女のことなど、考えなくてもいいのではないだろうか?
 そんなことを延々と考えていたら、いつのまにか一晩が明けていた。
 そして、私が出した答えはやはり同じだった。
「もうすぐ彼が来る時間ね……」
 “運命の記述”の最後のページを閉じて、私は彼を迎えるために部屋を出た。


3

「なあ、黒猫……」
「何かしら?」
 頭の中のアルバムを閉じて、先輩の声に耳を貸す。
 朝食を食べ終え、桐乃は起きてきた妹たちとじゃれている。
「あなたの妹を止めたいから、言うことがあるならさっさとお願い」
「ああそうだな……ただ、ちゃんと言ってなかったと思ってさ」
 先輩はそこで話を一回切り、ゆっくりと続けた。
「たった数回だったけど、楽しかったぜ。おまえとのデート」
「なっ……!」
「おまえのことも新しくいろいろ知れたし、最高の夏休みだったよ。サンキューな」
「わ、私も……楽しかったわ……」
「そっか、ならよかった」
 京介はそう言って笑った。そして、
「でも、胸を触るところまで行けなかったのは残念だ……」
「あっ、あなた!最近普通にセクハラするようになったわね!」
「そうか?」
「そうよ。まったく……」
「なにイチャついてんの?」
 そんな会話をしていると、珠希を抱きしめて満面の笑みの桐乃が、声だけをイラつかせて言ってきた。まったく、器用なことをする女ね。
「なんでもないわ。ただ、あなたのお兄さんにセクハラされていただけ」
「ちょっ!おまえ、なに言ってんの!?」
「セクハラってなんです?」
「珠希ちゃんは知らなくていいことだよ~……ちょっと、あんたこっち来なさい」
「ひいっ……」
 京介を正座させて説教する桐乃。その構図が、なんとも似合っていておかしくなってきた。
「姉さま、楽しそうですね?」
 そんな私に珠希はそう言った。
「そ、そうかしら?」
「うんうん。ルリ姉楽しそう」
「楽しそう!」
 日向の言葉に珠希がもう一度笑顔でそう言う。
「……そうかもしれないわね」
 あの二人がああしているのを見ていると、そしてそこに自分がいるのは、本当に楽しい。
 京介と二人だけの思い出もいいけれど、やっぱり私は、こうやって皆で莫迦なことをしているのが楽しい。そんなふうに思ってしまう。
「ねえ、京介。あんな女は放っておいて、遊びに行かない?」
「ひっ!?」
 京介の耳元で小さくそう呟く。京介はビクッとしてこちらを見た。
「おまえ、急にそういうことするな!」
 耳を押さえて声が裏返っている京介を笑いながら、今度は桐乃の方に矛先を向ける。
「あら?現役読者モデルが酷い顔をしているわよ。鬼の形相とはこのことね」
「こ、このエロ猫ー!」
 怒れるビッチを笑いながら、私は思う。
 ――私ができることは全てやった。
 ――だから、次はあなたの番よ。
 と。
 そして、京介。
 あなたはきっと答えを出してくれる。私が思っている以上の答えをきっと。
 そう信じているから……だから、今少しだけこの時間を楽しませて。
 それが理想の世界とは遥か遠くても、京介と桐乃と沙織。そして私の、残り少ないかもしれない日々を楽しませて。
 そんなふうに思うのだった。


 テーブルの上で開かれた“運命の記述”には、こう書かれている。
 ――みんなと、楽しく遊ぶ。
 と。

 ――Fin

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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