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「ある夏の日のゲー研」【俺妹二次】  byつむぎ日向

黒猫、白猫、神猫、五更瑠璃は俺の嫁!どうも、主宰のつむぎ日向です。

俺妹原作8巻を読み終え、そのままの勢いでSSを一本書いてしまいました。同タイトルでpixivにも投稿済みです。もしよかったら、そちらの閲覧数も上げて下さいねww

では、珍しく真壁君をステーリーテラーに(個人的には大好きなキャラです!)、SSお楽しみ頂けたら幸いです。

感想などなど、本当にお気軽に下さい!コメ欄がいつも寂しいので、悲しんでますw
どうぞよしなに。

byつむぎ日向



ある夏の日のゲー研


 まだ夏の暑さが残る、夕日が差し込む放課後のゲー研の部室。
 新学期初日のことだ。
「――真壁せんぱい」
 僕は赤城さんと二人きりで向き合っていた。


 話は少し遡って、数分前の部室。
 部長は先生にこれからのことで呼び出されていて、他の部員も今日は来ないようだ。
 高坂先輩も放課後早々に帰ってしまったようで(受験生なのだから当然だが)、これからこの部に毎日来るのは僕と赤城さんだけになってしまった。
 もう一人いたはずの部員も、今はもういない。
 そんな中、机で黙々と作業していた赤城さんが、ふと手を止めた。
「ねえ、真壁せんぱい……」
 その声は、初めてここに来た頃よりも低く、悲しみに満ちた声だったように聞こえた。それに戸惑いながらも、できるだけ平静を装って聞く。
「なんですか?」
「私って、そんなに嫌われてたんですかね?」
「え?」
 急に何を問われたのかわからなかったけど、彼女が見つめている方向に気がついて察しがついた。
 赤城さんはじっと、いなくなってしまった部員の――五更さんの使っていた机を見つめていた。
 そこにはもう何もなく、物が雑多に積まれた部室の中で、唯一綺麗に片付いていた。
「そりゃ、私も最初は嫌ってましたけど、やっと最近、仲良くなれてきたと思ったのに……それなのに、転校っておかしくないですか?」
「それは、家のご都合でしょうから……」
 ――仕方がない。
 そうは思うけど、僕だって納得はできなかった。
 五更さんの転校の件は、夏休みに入る頃に聞かされた。その時ほど、部室が静寂に包まれたこともなかったと思う。
 部長は盛大にお別れ会をしようと提案したけど、そんなことはしなくていいとの五更さんの主張を尊重することにした。と、言うよりも、言い負かされてしまった。
 そして、別れの言葉もなしに五更さんは転校してしまった。それは、なんとも彼女らしい気がしたけど、当然寂しかった。
「それに、松戸ならすぐに会えますよ。だから、お別れ会も断ったんだと思いますし」
「でも、もう放課後に部活は一緒にできないじゃないですか……「――違う学校の人を入れるのは駄目」って、真壁せんぱいが言ったんですよ」
「それは……」
 ――それはどうしようもない。
 そう心では思うけど、口には出せなかった。
 赤城さんのことを考えただけじゃない。自分も、そんなのは嫌だと思っているからだ。それでも……
「仕方ないじゃないですか……」
 そう言ってしまう自分が嫌だった。
 いつだって自分の心を押し殺して、こんなことを口にしてしまう。こないだだってそうだ。気に入らない奴だと思っても、それを言えない。情けない男だ。
「真壁せんぱい……冷たいですよ」
 案の定、赤城さんはそう返した。そして、でも、と続けた。
「でも、そうですよね」
「え?」
「真壁せんぱいの言うとおり、仕方ないんですよね。自分一人で、どうこう決められることじゃないし、それに、会えなくなるわけでもない……」
 そこで一回切って、しゃくり上げてから言葉をつづけた。いつの間にか、彼女は泣いていたようだ。そんなのにも、僕は気がつかないのか。
「……でも、それでも、やっぱり寂しいですよ」
「赤城さん……」
 僕とまったく同じ思いを口にした赤城さんは、メガネを外して、綺麗にアイロンがけされたハンカチで目元をぬぐっている。
「僕だって……僕だって同じですよ」
「せんぱい?」
「二人は、初めてできた後輩だったんです。それがすごく嬉しかった。それに、高坂先輩のおかげで部活も賑やかになって、毎日本当に楽しかった。それがいつまでも続くとは思ってません。でも、こんなことで……」
 こんなことで途切れてしまうなんて――
「僕だって、寂しいに決まってますよ!」
「――真壁せんぱい」
 赤城さんはメガネをかけなおして、まだ潤んだ目で僕をじっと見た。
「せんぱいがそういうこと言うの、初めて聞きました」
「僕も、赤城さんが五更さんのことで泣くとは思いませんでした」
 二人で見合わせて、フッと吹きだした。
「こうやってなれたのも、全部高坂せんぱいのおかげなんですね」
 赤城さんはしみじみそう言った。
「でも、いくらせんぱいだって、今回ばかりはどうしようもないですね。このゲームも、けっきょく完成はしなかったし……」
 机の上に置かれたディスクを一枚、悲しそうな目で見つめる赤城さん。それは、彼女と五更さんがずっと作っていたゲーム。でも、夏休みに入ってからは、ゲー研で作っていたゲームに集中していたせいで、それが完成することはなかった。
「もう、ここでこれを作ることができなのは、やっぱり悲しいです……」
 毎日、二人でいがみ合いながら作っていたゲーム。

 ――いったいそれのどこが面白いの?腐女子は黙って、私の言うことを聞いてなさいな。
 ――あなたのそれだって、意味がわからないんですけど!説明してもらえますか?
 ――どうせただの魔眼使いには、この私の崇高な運命の書(シナリオ)が分かるはずがないわ。
 ――誰が魔眼使いですか!
 ――腐女子の方は訂正しなかったわね……

 そんな会話は、いつの間にかゲー研の中で日常になっていた。
 今日のこんな静かな部室はとても久々で、物足りなさすら感じる。
「きっと、完成することもないんでしょうね……」
「赤城さん……」
 僕がなんと言っていいか迷っていると、部室のドアが勢いよく開かれた。
「完成してないなら、完成するまで作ればいい!」
 開かれたドアの先。そこには部長がドヤ顔で仁王立ちしていた。
「でも、もう五更さんは部活には……」
「そんなに部活であることが大事か!?」
 赤城さんの言葉を遮って、部長はさらに続ける。
「部活じゃなくたって、お前と五更が作るってのが大事なんじゃないのか。この場所がいいなら、いくらだって使っていい。俺が許可する!なんなら、俺や真壁、他の部員だって手伝ってやる。いつだって、いつまでもだ。」
「部長……」
「だから、そんな面(つら)してんな。次にあいつに会った時、いままで通りの顔してたいだろ?」
「はい……」
 赤城さんは、部長の言葉を聞き終えて、しばらく俯いてしまった。
「だがよ……仲間のことを思って泣く奴は、俺は好きだぜ。……真壁、お前もな」
「え?」
 急に話を振られ当惑する僕に、
「目が真っ赤だぞ」
 と、部長は言うのだった。
 自分も、光るメガネの奥で涙ぐんでいるくせに。
「自分だって泣いてるじゃないですか」
「うるせー!そういうとこはツッコむな!」
 そんなやり取りをしていると、勢いよく赤城さんは顔を上げて、僕と部長をそれぞれ見た。
「ついに、部長が真壁せんぱいに愛の告白を……しかも、いけない所にツッコむなって……」
「いやいや!話の流れおかしいですよね!?」
「ハッハッハ!腐女子妄想が出るなら、もう大丈夫そうだな!」
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ!」
 なんて部長に言いながらも、今日だけはいいかな。なんて思うのだった。
「真壁せんぱいが攻めで、部長のいけない所に……フヒヒ……」
 いや、やっぱり撤回。これ以上は精神的に悪い。


「ありがとうございます、部長」
「ん?なんのことだ?」
「いえ、なんでも」
 部活終わりに、赤城さんには聞こえないところで僕はそう言うのだった。
 きっと、部長が来てくれてなかったら、もっと酷いことになっていた。普段は頼りないけど、なんだかんだこの人は年上なんだ。
 僕にはできないことも、簡単にしてしまう。年を追えば僕もそうなれるのだろうか。部長や、高坂先輩のように……
「ほら、せんぱい方、帰りますよ!」
「おう!」
 赤城さんの言いに遮られてしまったが、それは結果としてよかった。
「真壁せんぱい……ありがとうございました」
「え?」
 照明の消えた廊下を部長が前を歩く中、赤城さんは小声でそう言った。
「きっと真壁せんぱいがいなかったら、この思いを誰にも言えないまま抱え込んでましたから。せんぱいが一緒に叫んで、泣いてくれてよかったです」
 そう言って、暗闇の中で赤城さんは確かに微笑んだのだった。
 それにしても、泣いてたのバレてたのか。それは恥ずかしいな。
「絶対完成させて下さいね。あのゲーム」
「はい!」
 僕の言葉に元気よく返事した赤城さんは、また前を向いて歩き出した。
 僕には部長や高坂先輩のようにはできないけど、一緒に泣いてあげることならできる。今はそれしかできないけど、それでいい。赤城さんの微笑みを見て、僕は確かにそう思ったのだった。


 それから数日後。

 ――わざわざ魔界から持ち帰ってあげたわ。
 ――消費期限が早いから、できるだけ早くその身体に取り込みなさい。
 ――それと、言っていなかったけれど、私と貴方達との契約は解かれていないのだから、それは忘れないでちょうだい。
 ――それでは、また。

 という短い手紙と共に、温泉まんじゅうが赤城さんの下に届けられた。
 “貴方達”という言葉から、赤城さんはそれを部室に持ってきて、みんなで美味しく頂いた。
 きっとこれは、僕たちへの感謝であって、これからもよろしくという意味なのだろう。それぐらいは高坂先輩じゃなくても分かる。
 僕らだって、五更さんの仲間なのだから。

 ――END





おまけ


「真壁せんぱい、ついでに嘆いてもいいですか?」
 新学期初日の放課後。すでに照明の消えた廊下を歩く中、赤城さんは僕にそう言った。
「どうぞ」
「その、引かないでくださいね……」
「大丈夫ですよ」
 そもそも、今さらなにを引くというのか。
「じゃあ、言わせていただきますね」
 赤城さんは意を決したように一呼吸置いて口を開いた。
「私のゲームでの扱い酷くないですか!?」
「へ?」
 当惑する僕に構わず、早口に続ける赤城さん。
「なんでずっと、「赤城の妹」「赤城の妹」なんですか!?修学旅行の時って、もう高坂せんぱいと私って出会ってますよね!?」
「そんなこといっても、まだアニメにも出てませんでしたし……」
「そんなの関係ないです!だって、五更さんの呪いの件とかあったじゃないですか!あんなシーン、放送中にありませんでしたよ!」
「それはそうですけど……ほら、言い回し的にはおかしくないですし」
「じゃあ、高坂せんぱいのことは置いておきます」
「置いていいんだ」
 僕のツッコミなど気にも留めず、赤城さんは続ける。
「なんでお兄ちゃんまで、「うちの妹」扱いしてるんですか!?いつもなら「瀬菜ちゃん」って呼んでくれるのに……」
 後半はほとんど泣きべそかいていた。
「いや知りませんよ……ってか、僕だって出てませんでしたから!」
 赤城さんの言葉に、つい僕も本音が出てしまった。だが、一度出てしまってはそこで止まらず、
「てっきり、富家幸太みたいにアナザーストーリーで僕主役の話があると思ったのに!」
 と、続けてしまった。
「それはBLですか!?」
「なんでそうなるんです!」
 ありえないと言われるより、精神的に響く。
「そもそも、あの出てきた「部員」って誰ですか!うちにあんな人間いませんよ!」
「そうですよ!私のクラスにせんぱいが来た時だって、あそこに私いたんですから!」
 そんなことを取り留めもなく言っていると、
「お前ら、俺も出ていなかった……」
 先を歩いていた部長が、重々しげに口を開いた。
「だが、ゲームには続編が作れる!二作目には、きっと俺たちゲー研にスポットが当たったシナリオがあるはずだ!」
「「部長!」」
 部長の叫びに、僕たちはすがるようにそう叫んだ。
 その声は、暗闇の廊下で無情に響いたのだった。

 ――END
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